Windows Vista とファイルシステム
たぶん、一般の PC ユーザが OS の操作で一番とまどうのがファイルの操作です。 はじめて PC のさわる方に使い方を教えることも多いですが、アプリケーションの使い方はすぐわかっても、ファイルシステムに対してすぐ理解ができる人は少ないように思います。
逆に PC をうまく扱える方は、ファイルの概念をよくわかっている人です。 ファイル名、拡張子、ツリー構造、そのほかのメタ情報。 そして、これらのうまい配置の仕方です。
Windows Vista には、WinFS という新しいファイルシステムが搭載される予定で、ぼくは期待していたのですが残念ながら搭載は中止になってしまいました。
このファイルシステムは、マイクロソフトのMicrosoft SQL Serverの次世代版であるYukonの技術を基にしている。WinFSは単にファイルやフォルダ(ディレクトリ)を管理するに留まらず、ファイルシステム自体が検索機能を持ち、様々なタイプのデータを瞬時に取り出すことができるようになるはずだった。 また、WinFSでは、各ファイルの属性を示すメタデータを管理することによりファイルシステム自体が個々のファイルの持つ意味や属性を把握できる仕様となっていた。この機能を利用することによって、個々のファイルの持つ様々な情報を、OSのサービスとしてAPIを通じて各アプリケーションに提供できるはずだった。
Windows の NTFS に限らず、現在の多くの一般的な OS で使われているファイルシステムは、システムファイルとユーザファイルが同一な扱いで同じ構造をしています。 というか、OS のファイルシステムをそのままユーザ用に使い回しています。 まずこれがわかりづらい原因の一つ。 システムの生ファイルシステムはユーザサイドには隠蔽したほうがいい。
そして、ファイルに付与される情報は本来OS用の、ツリー構造と、ファイル名や拡張子や日付、所有者等のごくごく限られた付加情報です。 これだけの情報で、膨大な数のファイルの管理をしろというのですから、ある程度の経験が必要です。
現在のファイルシステムの本筋であるツリー構造が悪いと言っているわけではなく、ツリーだけではなくてそのほか多くのビューを提供したほうが分かりやすいと思うのです。
音楽ファイルの管理では iTunes が人気ですが、このソフトはファイルシステム外、音楽ファイルのタグ情報などで多角的なビューを実現しているためだと思います。 ツリーの物理的な場所の意識を意図的に消せるのです。 WinFS はファイルシステム自体でこれを実装しようとしていました。
Windows Vista は WinFS の実装がされなかったため、擬似的に既存のファイルシステムを使い、インデックスサービスやシェルの拡張によりユーザから OS 的なファイルシステムを隠蔽しようとしています。 ただね、わかる人にはほころびが見えてしまうと思います。 検索速いので、まーいいんですが、
Windows 95 は Windows 3.1 では標準ではなかった TCP/IP スタックを標準装備しインターネットブームもあいまって爆発的な普及をなしとげました。 Windows 2000 は Windows NT コアにマルチメディア性能も付与し、会社内用 PC に深く浸透しました。
次に天下を取る OS はファイルシステムのデファクトをとった OS だと思うんですよね。 まぁ FS に直接これらをのせるのは、技術的には諸説紛々、よくないといわれることもあります。
でも、それでも多角的なビューがファイルシステムに実装がされ、おまけにネットワーク透過になったら。
ちょっと未来を感じませんか。 🙂