世にも恐ろしいセットアップ ~解決編~
いくつかの不可解な出来事ののち起動しなくなった愛機 PC。 ここではその解決の顛末を書こうと思う。 不可解な出来事はもうすこし続いたが、いまこのエントリを愛機で書けていることを、ただ幸せに思う。
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BIOS が起動しなくなった PC をまずは購入店に持って行かなくてはならない。 時間的に平日日中帯持ち込みすることは不可能だった。 最近よくブログに登場する “同居人の人”。 たよれるのは彼女しかいなかった。
お店に持ち込んだときの説明用メモ書きを彼女に書いてもらう。 BIOS が起動しなかったこと、最悪ディスクは消してしまってもかまわないこと、見積もりをもらうこと・・・。 いっそ先日のエントリを印刷してもっていってもらおうかと思ったが、購入店舗さんを混乱に陥れてはいけないとおもいやめた。
いつもぼくの試行錯誤を端から見ていた門前の小僧。 彼女も内容は把握してくれたようだ。 ぼくは PC を取り外し、機械を彼女に託して仕事に出かけた。 なにか困ったことがあったら携帯電話に連絡がくることになっていた。
夕方携帯電話に「これより持って行きます」というメールが届いた。 無事受付ができることを祈った。
そして一時間がたったころ、携帯電話のバイブレータがふるえた。 電話かと思ったがメールだった。 無事受付終了のメールだと思ったが、内容は予想外のものだった。
な
お
り
ま
す
た
!
おめでとう!
な、直った!? ということよりも、まずはその縦書きで謎の物言いが気になった。 なおりマスター? なおりましたご主人様? 妻よ、そのプレイはまだ未経験だ。
とにもかくにも、その場で直ってしまったらしい。 仕事を放り投げて彼女に電話をしてみる。
cmos クリア
その言葉を聞いたとき、ぼくは愕然としてその場に座り込みそうになった。 BIOS の設定”値” を保存する cmos。 BIOS 自体ではなくその値がとんでいたらしい。
そしてこの cmos クリアによる起動復旧はいままで何度も経験してきたことである。 マザーボードについている電池をはずすか、もしくはマザーボードのどこかにある(多くは電池の近く) cmos クリア用のジャンパーをショートさせれば完了である。 BIOS の設定値が出荷時点にもどってくれる。
たいていは BIOS 設定時に誤った設定をしてしまい起動しなくなったときに用いる手法。 今回は BIOS をまったくいじっていなかったためと、Fedora 起動の衝撃によりこの方法を完全に失念していた。 持ち込み後15分で復旧だったらしい。
とにもかくにも直った。 自然と顔がほころぶ。 その後、仕事を終わらせ彼女と落ち合うことにした。 修理代に予定していた1万円は、昔二人でよく行っていたイタリア料理店でゆでたてのパスタになった。
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原因が BIOS 設定値の破損によることが分かった。 衝撃の Fedora 起動のことを思い出し一つの仮説を立ててみる。
そんなバカな。 ディスクには Fedora は残っていないはず。 CDROM ドライブにも Fedora の CD なんかはいっていなかったし、外付けのストレージはまだ接続されていない。 MBR (マスターブートレコード)が消えていなかった・・・、と考えるのが妥当だが Windows XP は先程まで綺麗に起動していた。
「外付けストレージはまだ接続されていない」この部分が思い違いだったとしたら。 うちにある外付けハードディスクは1台だけだ。 そう、あの段ボールの・・・
USB 外付けハードディスク。 この8Gしかないディスクに Fedora CORE Linux が入っていたとしたら・・・。 時はさかのぼり1年ほど前。
RAID 1 ミラーで構築された Fodora CORE Linux。 ハードディスク故障のフェールセーフのため2台に同一の内容を同時に書き込み、1台が壊れても問題を起こさないようにする RAID ミラー技術。 この双子の兄弟ともいえるディスク達が離ればなれになってしまったことが1年ほど前にあった。 なぜか RAID の構成ができず双子である証明を OS が受け付けてくれなくなったのだ。
なんとこの不具合を修正するのに使ったのがこの 8G のハードディスクだった。 これを兄とし新たに Fedora CORE Linux をインストール。 そして、双子の弟たちをマウントし、離ればなれになった彼らをまた元に戻した兄。 彼は役目を終えると人知れず機械から切り離されそっと保管されていた。
この保管された兄は、先日データバックアップ用にフォーマットされ段ボールに格納された。 フォーマットは Windows 上からのクイックフォーマットだった。
そう、Fedora はもう一人いたのだ。
キューブ PC は USB からのブートに対応していた。 もし、 cmos 破損でブートドライブがおかしくなったとしたら・・・、 ここから Fedora が起動してしまう可能性はなくはない。
ソフトウェアたちは正常に動作しようとしていただけだったのかもしれない。 今はそう思いたい。 しかし、以上は原因から現象をたどった仮説のひとつにすぎない。
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ゆであげパスタがテーブルの上に乗った頃、彼女がひとつ興味深いことを言った。
PC の修復作業中店内にかかっていた BGM が、映画 “輪廻“だった。
自己は輪廻転生だという Fedora CORE Linux からの最期のメッセージだというのか。 cmos 破損の原因はいまだもって不明である。
そういえば彼女と二人でここにくるのは久しぶりだった。 Fedora がくれたプレゼント、そう思うことにする。
パスタを食べ終え、つけたタバコの煙は円を描き天井に向かった。
From: Sa・Ga - 2006/1/14 Saturday (Comment)
とりあえずは復旧おめでとうございます(と言ってよいのですよね?)。
・・・しかし、意外な顛末でしたね。
CMOSクリアがこんなに重要な作業だったとは知らなかった・・・。
それにしてもパスタって1万円もするのか。
千円ちょっとのオムライスで満足している自分が小さく感じますね。
From: ひろまさ - 2006/1/15 Sunday (Comment)
どもどもありがとうございます。 お騒がせいたしました。:oops:
パスタ、文章構成上 1万円にしてしまっていますが、ホントは千円ちょっと×2です。 ワインは我慢しました。(笑)
From: Sa・Ga - 2006/1/16 Monday (Comment)
すっかり返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
値段の件、了解いたしました。
# 本当にこんなに物価が高かったら私なんて生きてゆけない・・・。
ワインは・・・あ、そうか、ドライヴァーはこういうときつらいですね。
From: ひろまさ - 2006/1/17 Tuesday (Comment)
いえいえ、こちらこそすいません。:oops:
全然関係ないですが、バブル世代の会社の先輩が
「あのころは、ぼられていたんだか、実は本当にその値段だったのか分からないくらい飲んでいた・・・」
といっていました。 うーん、バブル期に生まれたかった。(笑)
From: Sa・Ga - 2006/1/18 Wednesday (Comment)
私も「バブル期に生まれたかった」ですね。
そうすれば今頃青春時代。お子様の数も減っているので大学受験も楽勝だったでしょう(本当かよ)。
# 一浪したあげく三流大学というのは・・・。
元々お酒に弱い自分はどんなにバブリーであってもあまり飲みませんが、可処分所得が低いというのはどうも。:oops:
From: ひろまさ - 2006/1/19 Thursday (Comment)
お酒はちょっとくらいが一番おいしくのめるので、いいのではないでしょうか?:grin:
どうもぼくは燃費が悪くて・・・(笑)